VR/ARの活用事例
2023.09.25
【VR訓練】事例とメリット・デメリット!自社で実施する際の課題と解決法とは
仮想空間内にリアルに近い状況を構築し、より精度や品質の高い訓練・トレーニングをおこなえるのが「VR訓練」です。短期間で技術を習得できる、コストを抑えられるなど多くのメリットがある一方デメリットも。この記事ではVR訓練の事例やメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、自社でVR訓練をおこないたいときに直面する課題とその解決法をお伝えします。
この記事でわかること
- VR訓練とは何か?
- VR訓練の種類と事例
- VR訓練のメリット・デメリット
- 自社でVR訓練を実施するための方法・課題・解決策
目次
1.VR訓練(VRトレーニング)とは?
「VR訓練」とは、VR技術を活用して実施する訓練・トレーニングの総称です。CGや実写映像を活用したリアルな災害現場(仮想空間)で避難訓練をおこなったり、農業や製造業などの現場ではスタッフに職業訓練をおこなったりできるなど、幅広い分野に活用できる技術です。
2.VR訓練の種類と導入事例
具体的に、VR訓練にはどのような種類があり、どのように導入されているのかを見ていきましょう。VR避難訓練・防災訓練
実写映像やCGを使ったVR技術で火災・土砂災害などの現場を再現し、実際の避難経路を確認します。いざ災害に直面したときにどのように行動すべきかなどを学んだりできます。実施事例
火災現場からの避難訓練 ※出典:株式会社理経火災現場からの避難を疑似体験できるVR訓練です。立ち込める煙や火災発生時の現場(避難経路)の暗さなどもリアルに再現されています。
土砂災害現場からの避難訓練 ※出典:株式会社理経
こちらは大雨による土砂災害をリアルに体験できるVRです。轟音とともに迫りくるリアルな土砂の音や振動まで体験できます。
この訓練で学べること
- 災害に直面したとき、自分の視界にはどのように映るのか
- 迫りくる炎や煙を目の前にしたとき、どのような心理状態になるのか
- 煙で非常階段までたどり着けないとき、どのような行動を取るべきか
- 避難するにあたって、転倒などで怪我をしやすい場所はないか
- 火災・土砂災害などに対してどのような備えが必要か
VR職業訓練
工場や自動車のエンジンなどを実写映像やCGで再現し、従業員の技術訓練をおこなったり、患者をリアルに再現して手術の指導・教育・研修をおこなったりできます。現実に近い環境で学べるため、より実用的な技術が身につき、繰り返しおこなえるので熟練度も向上させることができます。実施事例
VRを活用した農家育成・学習システム ※出典:東芝システムテクノロジー株式会社島根県出雲市が、後継者や技術継承問題が深刻な農業にVR訓練を導入し、新規就農者の技術習得・向上のために活用しています。農業の技術は長い月日をかけて経験を積まなければなりませんでしたが、VR訓練により短期間で習得できる上、自分のタイミングで自主学習もできるようになりました。
航空機からの緊急避難研修 ※出典:日本航空株式会社
JALがグループ社員を対象に実施した、航空機からの緊急避難研修でも、VR技術が使われていました。避難時に自分の手荷物を持ち出そうとする乗客などがリアルに再現されており、実際の現場さながらの緊張感の中で訓練を実施することができます。
この訓練で学べること
- 匠の技術を目の前で何度でも確認でき、見よう見まねで実践できる
- やり直しがきくため失敗をおそれず、自分が思ったことにチャレンジできる
- 長い月日をかけて身につく技術を短期間で習得できる
- 緊急事態で人がどのような行動を取りやすいか体験できる
- 緊急事態に直面したとき、まずはどのように行動すべきかを確認できる
VR消防訓練
火災現場からの避難訓練ではなく、消火活動を疑似体験できるVR消防訓練もあります。火災現場においては初期消火が大変重要といわれていますが、VR消防訓練では消火器の使い方などを学ぶことができます。実施事例
消火訓練シミュレータを用いた疑似体験 ※出典:MXモバイリング株式会社消火訓練用の設備や標的(訓練用の炎)などを準備しなくても、手軽に消化器の使い方や消火に失敗したときの対処方法などを学べるVR訓練です。
この訓練で学べること
- 消火器の使い方
- 初期消火に失敗したときの対処方法
- 実際に炎を目の前にしたときの緊張感
- 消火器を使う際の注意事項
VR/AR災害体験
火災現場からの避難訓練ではなく、消火活動を疑似体験できるVR消防訓練もあります。火災現場においては初期消火が大変重要といわれていますが、VR消防訓練では消火器の使い方などを学ぶことができます。実施事例
地震体験 ※出典:株式会社DMMアイデアクラウドランダムに地震が発生し、揺れや家具の倒壊を目の当たりにしたり、避難したりする流れを体験できるコンテンツです。落下物から頭を保護するなど、地震の怖さを体験しながら身を守る術を学ぶことができます。
浸水体験 ※出典:Prof.Tomoki Itamiya’s Laboratory(神奈川歯科大学 歯学部教授 板宮朋基氏)
こちらはAR技術を活用した浸水体験です。スマートフォンやタブレットを介して、今まさに自分がいる場所が浸水したらどのような状況になるのか、どれくらいの恐怖感を覚えるのか、どのような行動が取れなくなるのかなどを学ぶことができます。
3.事例から見えた「VR訓練のメリット」
近年では企業・自治体・そのほかさまざまな団体がVR訓練を導入し始めています。事例からもわかるように、VR訓練には本当に多くのメリットがあります。その代表的なものをいくつか挙げていきます。リアルな訓練と比べてコストの大幅な削減が可能
実際の訓練では、会場や設備を用意したり、道具・機材の調達、指導員を始めとした人件費など、とにかく多くのコストがかかります。VR訓練を導入すれば、そうしたさまざまなコストを大幅にカットすることができます。危険な場面・実際に用意するのが難しい場面も安全に体験できる
災害現場や人間が立ち入るには危険な場所、航空機に搭乗中の非常事態など、現実的に再現するのが難しい場面はどうしても頭の中で想像したり、画像や映像で補ったりするしかありません。しかし、VR訓練を導入することでそうした場面も再現できるため、よりリアルで質の高い訓練が可能になる上、身の危険もないので安心して取り組むことができます。
本来時間がかかる技術の習得も短期間で済む
長い年月をかけて培われる匠の技は、継承するのも同様に長い年月を必要とします。とくに人手不足・後継者不足という大きな問題に直面しており、人材の育成が急務な農業などは良い例です。教育や研修にVR技術を導入すれば、そうした技術の習得を短期間である程度まで済ませることが可能です。自動車や船舶のエンジンといった製造、手術など医療分野にも活用され始めています。
誰にでも、どこにいても同じ品質の訓練を実施できる
実際の訓練では、指導員によって、あるいは会場などの環境によって精度にバラつきが出たり、伝え方に齟齬があったりなど、見えないトラブルがつきものです。品質が低ければ訓練の意味も半減してしまうかもしれません。VR訓練を導入することで、いつでも、誰でも、どこにいても同じ品質の訓練を受けることができます。
現場に直面したときの緊張感・焦燥感・恐怖感を体験できる
頭の中のイメージや画像・映像ではどうしても現実味がなく、訓練そのものの緊張感が薄れてしまうことも。せっかくコストをかけて実施しても、これでは訓練の意味がありません。VR訓練を導入すればリアルな場面に没入できるため、緊張感や焦燥感、恐怖感がどれくらいのものなのかを推し量ることができ、いざというときのイメージも湧きやすいメリットがあります。
頭でイメージするだけよりも記憶に残り体でも覚えられる
実体験に勝るものはありませんが、VR技術を活用すれば、より現実に近い環境で訓練ができます。実写映像を使ったVRであればとくに、災害現場の凄惨な状況などが脳裏に焼き付くはずです。頭でイメージしたり画像・映像を見たりしたときよりも記憶に残り、またそうした現場で実際に動いくことで体でも覚えられる(忘れにくい)というメリットもあります。
4.事例から見えた「VR訓練のデメリット」
多くのメリットがある一方、VR訓練にはデメリットもあります。
初期費用・導入コストはどうしてもかかる
VR訓練を実施するには、コンテンツとヘッドマウントディスプレイ(HMD)やタブレットなどのデバイスが必要になります。どのような訓練を実施するかにもよりますが、コンテンツ制作とデバイスを揃えると数百万円は見ておいたほうが良いでしょう。一度制作すれば使い回せるので、長期的な視点で見るとそれほどでもないのですが、初期費用がかかる点はデメリットといえるかもしれません。
VR酔いを起こしたりトラウマになったりすることがある
VRゲームなどでよく見られる「VR酔い」は、乗り物酔いなどのように吐き気・胃のムカつき・頭痛などを招くのが特徴です。地震体験など周囲が激しく動くコンテンツなどはとくに注意が必要でしょう。また、凄惨な災害現場を目の当たりにした人などは、もしかするとトラウマを抱いてしまうおそれがあります。「VR酔いを感じたら直ちに中止する」「どのようなコンテンツか事前に詳細に説明する」など、しっかりした対策が求められます。
5.自社でVR訓練を導入する際の問題点とは?
スタッフの教育・研修などを目的に、自社でVR訓練(トレーニング)を導入したいが、さまざまな問題に直面しているという企業さま、ご担当者さまも多いのではないでしょうか?COMBO(弊社)も次のようなご相談・お問い合わせを数多くいただきます。
エンジニアや開発環境が不足している
VRでもARでもコンテンツ制作が最初の大きな問題点になってきます。たとえばVRの場合、実写映像タイプやCGタイプがありますが、制作するにはエンジニアの知識と経験・技術、そしてシステムなどの開発環境が必要です。エンジニア不足や開発環境が整っていないため、コンテンツ制作に取りかかれないという企業さまは多く見られ、弊社にもよくご相談をいただきます。
どれほどのコストや期間を要するか読めない
VR/ARコンテンツ制作の実績が少ない企業さまからは、企画・開発・運用までどれくらいのコストがかかり、どれくらいの期間を必要とするのかが読めずに困っているといった声も多く聞かれます。6.COMBOが御社の問題を解決し、プロジェクトを成功へと導きます
「エンジニア不足」「開発環境がない」などの問題、および「経験や実績がない」「実現可できるのか、コストや期間も予測がつかない」といったご不安はすべてCOMBOが解決します。精鋭エンジニアの派遣やプロジェクトのサブチームをご提供!
COMBOには、これまで数多くのVR/ARコンテンツを制作してきた精鋭エンジニアが在籍しています。御社のコンテンツ制作にエンジニアを派遣することはもちろん、プロジェクトの『サブチーム』をご提供することも可能です。Unityを使った開発環境やノウハウがある!
COMBOにはUnityを使った開発環境が完備されています。またUnityで開発をして培ってきたノウハウも大きな強みです。開発環境が整っていないという場合も、ぜひお気軽にご相談ください。企画・開発・コンサルティング・技術検証まですべてお任せ!
豊富な開発実績で培ってきた経験・技術・知識を生かし、VR/ARコンテンツの制作のみならず企画からコンサルティング、さらには今後に向けた技術検証(PoC)まで、トータルでお任せいただけます。VR技術を活用することにより、コストの大幅な削減や質の高いトレーニング、短期間での技術習得など数多くのメリットを生み出すことができます。
自社でVR訓練・トレーニングを取り入れるにあたって、エンジニア不足や開発環境、実績などにお悩みの企業さま、ご担当者さまはぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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