VR/ARの将来性
2023.11.05
【xRニュース】メタバース登校、不登校の子どもたちを救う新たな支援のかたち
近年、新型コロナウイルス流行の影響もあってか、不登校の子どもたちの数が増加。昨年度・小中学生の不登校は244,940人と過去最多を更新し問題視されてます。そんな今、不登校の子どもたちの間でメタバースを通じた学習が広まりつつあり、教育の新しい可能性を切り開いています。今回はさいたま市の不登校等児童生徒支援センター「Growth」における取り組みに着目し、メタバース登校の概要、メリット・デメリット、今後の展望をまとめました。
この記事でわかること
- いま大注目の「メタバース登校」とは?
- 「メタバース登校」の課題や今後の展望
メタバース登校とは
メタバースはインターネット上の仮想空間で、利用者はアバターと呼ばれる自分自身の分身を操作して、他プレイヤーとの交流などさまざまな体験をすることができます。
さいたま市の不登校等児童生徒支援センター「Growth」では、不登校の子どもたちが参加できるメタバース空間を提供しています。現実世界で問題を抱える子どもたちも、安心して学習活動に参加できる環境が作られたことにより、新しい学びの場として話題になっています。
このプログラムは2022年度に235人、23年度も7月末時点で185人の利用登録者がいると報告されており、メタバース学習が不登校の子どもたちに有益であることが示されています。
さいたま市の具体的な取り組み
※出典:不登校等児童生徒支援センター(Growth)公式さいたま市教育委員会は令和5年7月18日、不登校等児童生徒支援センター「Growth」を通じ、メタバース空間を活用した支援を開始しました。具体的な取り組みには以下のようなことが挙げられます。
さいたま市教育委員会の取り組み例
- 4階層に分かれたメタバース空間を設定し、支援をおこなう
- 児童生徒はアバターを操作し、人と関わったりメタバース空間内を移動しながら生活したりできる
- さまざまな学習スペースを設け、児童生徒が自分のペースで学習内容や学習の仕方を選んで学ぶことが可能
- 相談専用のプライベートルームを設け、児童生徒が安心して過ごせる環境を構築
- グロウスはもとの学校に所属したまま参加でき、活動履歴は市教委から所属校に送られ、学校判断で出席となる
授業は1コマ30〜40分で週3日、1日3時間。小学生向けや中学生向けに分かれており、参加するかは児童が自由に選べます。担当者は「子ども同士が同じ悩みを共有できる、居心地の良い場所になっているのではないか」と手応えを感じているようです。
メタバース登校を保護者はどう感じている?
さいたま市の不登校等児童生徒支援センター「Growth」では、2022年度には235人、23年度には7月末時点で185人の利用登録者が報告されています。これは、メタバース登校が不登校児童生徒にとって有益であり、関心を持って受け入れられていると考えられます。
教育関係者は、メタバース登校が不登校児童生徒にとって安心して学べる環境を提供し、新しい学習の機会を提供する点で価値を見出しています。また保護者の中には、子どもたちがメタバース登校を通じて学びの喜びを見つけ、自信を持って学習活動に参加できるようになったと感じている人もいるようです。
さいたま市のメタバース登校の取り組みは、多くの関係者に良い影響を与えており、教育の新しい可能性を示していることがわかります。
全国に広がるメタバース登校
さいたま市以外にも、さまざまな自治体でメタバース登校の導入が進められています。
愛知県春日井市「不登校児童生徒向け『メタバース登校』を6月から開始」
愛知県の春日井市では、不登校の子どもたちのためにメタバース空間を構築し、コミュニケーションを図る取り組みを行っています。この取り組みは、2023年6月中に開始されました。※出典:春日井市定例記者会見資料
東京都「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」の展開 ~新たな仮想空間を活用した児童・生徒支援を開始
東京都教育委員会は、日本語指導が必要な子どもや不登校の子どもたちの居場所・学びの場として、仮想空間上に「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」を令和4年度からデモ運用を実施しており、令和5年9月22日から順次運用開始しています。※出典:東京都
メタバース登校の今後
メタバース登校は、教育の新しい形態としてその可能性を広げています。特に不登校児童生徒にとっては、メタバースは安全で受け入れやすい学習環境を提供する貴重なツールとなっています。今後はこういった取り組みは全国的にも普及すると考えられており、不登校児だけでなく、さまざまな教育の場として活用されることが期待されています。例えば、学校や教師の数が少ない過疎地域などにも効果的であり、全国どこに住んでいても同じ水準の教育を受けることが可能になるといったメリットが挙げられます。
将来的には、全ての児童が自分の好きな学問を自分で選んで自由に学べるなんていう日が来るかもしれません。
【参考元・出典】
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