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2024.06.29

大成建設「T-Meta JINRYU」は複数人で同時に災害体験が可能なメタバース・システム

大成建設のロゴ画像
大成建設株式会社(代表取締役社長:相川善郎)は、災害発生時の施設内状況をリアルに再現したメタバース内で、複数人が同時に避難行動などを体験できるシステム「T-Meta JINRYU」を開発。最適な避難計画の策定のみならず、人流を考慮した施設計画の検討などにも活用が期待されています。※当記事は大成建設株式会社ニュースリリースをもとに作成しています。

この記事でわかること

  • 「T-Meta JINRYU」とは?
  • 「T-Meta JINRYU」の開発背景
  • 「T-Meta JINRYU」の特徴

「想像する避難訓練」から「見える避難訓練」に

大成建設T-Meta JINRYUのキャプチャ 大成建設株式会社

子どもの頃に小学校で実施していた避難訓練といえば、防災頭巾をかぶってワイワイガヤガヤ話しながら、笑いながら校庭に集まるという危機感ゼロの「訓練」とはいえない行事でした。その原因のひとつが炎や煙、焼け崩れる建物などが見えないことが挙げられます。

今回、大成建設が開発した「T-Meta JINRYU」は、災害発生時の施設内を緻密にモデリングしたBIMモデルをベースにメタバース空間内に再現。炎や煙がリアルに拡散していく様子を体験できるシステムです。

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着した個々人がそれぞれ災害を体験できるコンテンツはいくつもありますが、「T-Meta JINRYU」はVRデバイスを装着した複数人が同時に参加できるという特徴があります。メタバース空間内でお互いにコミュニケーションを取り合い、安全に避難するための術を学ぶことができます。

災害発生時の役割分担を明確にしたり、この行動はNG、ここに人員を配置などあらゆる角度からシミュレーションをおこなうことが可能となります。まさに「見える避難訓練」が実現するというわけです。

「T-Meta JINRYU」の開発背景

従来の個々人によるVR災害体験コンテンツのイメージ画像

施設内における避難計画を立案するにあたっては、人流の集中などによる混雑の発生を考慮したり、被害を最小限に食い留めるために群集の動きをシミュレーションしたりすることが重要でした。

しかし、従来の個々人がHMDを装着するVR災害体験システムでは、行動・判断すべてが個人に委ねられており、周囲とコミュニケーションを取りながら避難するといったシミュレーションの再現は非常に困難でありました。

そこで大成建設は【BIMデータを活用した建物の空間情報】と、同社が開発した【人流シミュレーションシステム】を用いたメタバース空間を構築。群集の避難状況や炎・煙の流動などの解析結果を統合することで、より臨場感のある災害現場の再現が可能となりました。

加えて、VRデバイスを装着した複数人が同時に参加、お互いコミュニケーションを取りながら避難行動をとることができる「T-Meta JINRYU」を開発したとのことです。

災害体験だけではない「T-Meta JINRYU」の凄さ

T-Meta JINRYUのシステム概要図 大成建設株式会社

「T-Meta JINRYU」の機能・特徴を要約すると以下のとおりです。

災害時の施設内状況を可視化、臨場感ある体験が可能

参加者はVRデバイス装着し、災害時の施設内状況を可視化したメタバース空間に入り込みます。人流はもちろん、炎や煙の流れ・拡散が緻密に再現された施設内で、リアルな災害現場を体験することができます。大成建設によると、「T-Meta JINRYU」で災害体験することで避難場所や避難経路、人流が集中する(混雑が想定される)出口などを事前に把握できるだけでなく、迅速な意思決定、的確な避難行動の実施=最適な避難計画の立案も可能になるとのことです。

複数人が同時参加でき、相互コミュニケーションも可能

従来のVR災害体験システムと大きく異なるのが、複数人の同時参加および、参加者間での相互コミュニケーションが可能という点です。災害時の役割分担をスムーズにするだけでなく、被害状況の把握・報告から避難誘導まで、組織で動くシーンを想定した実践的な訓練が可能となります。

車椅子利用者や介助者の避難状況も体験可能

災害が発生している施設の群衆内では、とりわけ車椅子利用者やその介助者の移動が困難になることが想定されます。「T-Meta JINRYU」ではそうした方々をメタバース空間に組み込むことで、災害時の彼らの避難行動を仮想体験することが可能に。施設のあらゆる利用者にとって、最適かつ安全に移動できる避難計画の立案に寄与します。

平時の人流を考慮した施設計画の検討も可能

大成建設が開発した人流シミュレーションと連携することで、災害時のシミュレーションだけでなく、平時における動線計画にも活用できます。エレベーターホールやエスカレーターの必要滞留面積、混雑発生箇所の把握、窓・出口・トイレの必要数などを、設計段階からメタバース空間内で体験できるため、現実を想定した効率的な検討の立案へとつながります。

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