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2024.05.10

清水建設×積木製作「メタバース検査システム」で遠隔地から完了検査が可能に

メタバース検査システムの実際の画像
2024年2月6日、清水建設は日本建築センターの指導および積木製作の協力を得て、仮想空間内で建物の中間検査・完了検査を実施できる「メタバース検査システム」を開発したことを発表しました。監理者や検査員の作業効率化、人手不足の解消などあらゆる効果が期待されています。

この記事でわかること

  • メタバース検査システムとは
  • メタバース検査システムの2軸要素

完了検査のための移動だけで年間【100万時間】かかっていた

清水建設によると、日本全国では毎年60万棟もの建物が着工され、完成までにいくつもの検査が実施されているとのことです。検査は必要なので当然省くことはできませんが、その検査のための移動には膨大な時間が費やされています。同社によれば完了検査だけでも移動に100万時間以上かかっているといいます。

1人の人間で考えてみると、単純計算で約41,667日分(約114年分)という、途方もない時間が検査の「移動だけ」で使われているということです。

「メタバース検査システム」により遠隔地からの確認が可能に

メタバース検査システムのイメージ画像1 ※出典:株式会社積木製作

このたび清水建設が開発した「メタバース検査システム」は、遠隔地からの中間検査・完了検査を可能にし、膨大な移動時間を大幅に短縮できるというもの。

たとえば検査員7人が往復2時間かけて現場を訪れた場合、14時間が費やされることになります。「メタバース検査システム」なら現場に赴く必要がないため、その14時間を他の業務に割り当てることができる、というわけです。

「メタバース」と「xRチェッカー」2つの要素で構成

「メタバース検査システム」は、大きくわけて以下2つの要素で構成されています。

メタバース

メタバース検査システムのイメージ画像2 ※出典:清水建設株式会社

「メタバース検査システム」ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)データと、施工中の建物(空間)をスキャンした3次元点群データを結合させメタバースを構築します。

検査員はVRゴーグルを着用し(アバターとなって)メタバースに入り込み、コントローラー操作で建物内や周囲など任意の場所に瞬時に移動。鳥瞰といった視点からの検査も実施可能です。また同じアバター内に入り込んだ別の場所にいる検査員や関係者とは、音声で会話が可能。クラウドからDLした画像や報告書などの各種データも確認できます。

xRチェッカー

メタバース検査システムのイメージ画像3 ※出典:清水建設株式会社

上記BIMデータと点群データとの整合を自動計測し、設定した許容値を超えた差分を色分けできるのがxRチェッカーです。つまり確認申請図書のデータと、実際に施工して3Dスキャンしたデータ(実測値)に差分がないかどうかを、瞬時にチェックできるというわけです。

あらゆる角度からの検査が可能なだけでなく、差分・ズレを瞬時に色で見分けることができるため、移動時間のみならず検査にかかる時間そのものも大幅な短縮を実現できます。

検査の「高度化」にも寄与

メタバース検査システムのイメージ画像4 ※出典:株式会社積木製作

「メタバース検査システム」の各種機能によって場所・時間・天候を問わず建物の諸検査を実施できるため、単純に建築生産の高効率化が図れるようになりました。同時に、あらゆる角度からの検査および色分けによる差分の瞬時発見などが可能になったことから、検査の効率化および高度化も実現しています。

清水建設によれば、すでに日本建築センターからは「実用に供し得る」という評価を得ているとのこと。従来目視でおこなわれてきた建設中の建物の諸検査を、メタバース空間で高確度的かつ効率的に実施できるようにしたこの技術の登場は、日本全体の建築生産の効率化を促進するものと期待されています。

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