VR/ARの将来性
2024.04.19
日立製作所がNVIDIAとの協業を発表!DXによる社会イノベーションを加速
3月19日、日立はNVIDIAとの協業を発表。「Lumada」のAIライブラリ、「NVIDIA AI Enterprise」「NVIDIA Modulus」のプラットフォームを統合しAIソリューションの強化を図ります。一方、デジタルツイン環境開発にもNVIDIAの「NVIDIA Omniverse」「NVIDIA Modulus」を活用するといいます。この記事では両者の協業について基本的なところをまとめています。
この記事でわかること
- 日立製作所とNVIDIAの協業について
1.日立とNVIDIAの画期的な協業
※出典:日立製作所/NVIDIA3月19日、日立製作所はNVIDIAとの協業を発表。日立が持つエネルギー、モビリティ、コネクテッドシステムといったOT(制御・運用技術)領域でのデジタルソリューション、NVIDIAが持つ生成AIに関するノウハウを組み合わせ、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)による社会イノベーションを加速すると発表しました。
協業の背景
ひとつは技術革新の必要性。現代社会はエネルギーの持続可能性、交通システムの効率化、産業の自動化といった複数の課題に直面しています。これらの課題に対応するためには、既存の技術やアプローチだけでは不十分であり、新たな技術革新が求められています。もうひとつが生成AIの可能性。生成AIはこれまでにない速度で情報を分析・生成し、人間の想像力を超えた解決策を提案する能力を備えました。その技術を活用することで未来の社会構築に必要なイノベーションを加速させることができます。
そしてデジタルツインの応用。デジタルツイン技術は、現実世界の複雑なシステムやプロセスを仮想空間で再現し、シミュレーションすることが可能です。これにより実世界での実験が困難または不可能な条件下でも、最適な解決策を探求できます。
協業の目的
- 社会イノベーションの加速:生成AIの能力とデジタルツインの応用を組み合わせることで、社会イノベーションを加速。エネルギー、モビリティ、産業分野における新たな価値創出と、それらの分野での課題解決を目指す
- 持続可能な社会の実現:エネルギー消費の最適化、交通システムの効率化、産業プロセスの自動化といった持続可能な社会実現に向けた取り組みを強化
2.生成AIによるDXの新たな波
生成AIの進化はDXに新たな波をもたらし、エネルギー、モビリティ、産業の各分野をこれまでにないスピード感で変革させています。
エネルギー分野での変革
- 効率的なエネルギー管理:生成AIを活用することでエネルギー消費パターンを予測し、最適なエネルギー配分を実現。エネルギーの無駄遣いを減らし持続可能な社会の実現に貢献する
- 再生可能エネルギーの最適化:風力や太陽光などの再生可能エネルギー源は天候に左右されるが、生成AIはその変動を予測。エネルギーシステム全体の安定性を保ちながら、再生可能エネルギーの利用を最大化する
モビリティ分野での変革
- 交通流の最適化:生成AIが交通流のシミュレーションと最適化を可能にし、渋滞の緩和や交通事故の減少に貢献。また公共交通の効率化により環境負荷も低減される
- 自動運転技術の進化:生成AIが自動運転車の学習プロセスを加速させ、より安全で効率的な運転を実現。モビリティサービスの新たな形態が生まれ人々の移動手段に革命をもたらす
産業分野での変革
- 生産プロセスの最適化:生成AIが製造プロセスのシミュレーションを通じ、生産効率の向上やコスト削減を実現。品質管理においても、従来の手法では見逃されがちな問題を発見し、製品品質の向上に貢献する
- カスタマイズされた製品の開発:顧客のニーズや好みを深く理解し、それに応じてカスタマイズされた製品を迅速に開発・提供することが可能に。顧客満足度の向上とともに、新たなビジネスモデルの創出が期待される
3.デジタルツイン技術の進化と応用
物理的な世界をデジタル空間に複製し、リアルタイムでの分析やシミュレーションを可能にする革新的な技術が『デジタルツイン技術』です。とりわけ「NVIDIA Omniverse」と「NVIDIA Modulus」を活用したデジタルツイン環境の開発は、実世界の問題解決に大きく貢献する可能性を秘めています。
「NVIDIA Omniverse」
「NVIDIA Omniverse」は、複数のソフトウェアアプリケーション間でのコラボレーションとシミュレーションを可能にするプラットフォーム。異なる分野の専門家が共同で、より複雑なデジタルツイン環境を構築し、評価することが可能になります。具体的には、リアルタイムコラボレーション(異なる地域にいるチームメンバーがリアルタイムで共同作業が可能)や、高度なシミュレーション(物理的な法則に基づく正確なシミュレーションにより、実世界での挙動を予測する)といったことが可能になります。
「NVIDIA Modulus」
「NVIDIA Modulus」は、物理学に基づいた機械学習モデルを構築するためのフレームワーク。デジタルツイン環境内での物理現象のシミュレーションを、より高度かつ正確におこなえるようになります。具体的には、物理現象の正確なモデリング(実世界の複雑な物理現象を正確にモデル化し、シミュレーションする)や、予測精度の向上(物理法則を取り入れた機械学習により、予測の精度が大幅に向上する)といったことが期待されます。
実世界の問題解決への貢献
上述した技術を活用することで、実世界における以下のような問題・課題の解決に貢献できる可能性があります。まずはエネルギー管理の最適化。エネルギー供給網のデジタルツインを構築することにより、消費パターンの予測や供給の最適化が可能になります。また都市計画にデジタルツインを導入すれば、交通シミュレーションや災害時の避難計画の策定にも役立ちます。
そのほか製造プロセスのデジタルツインを作成すれば、生産効率の向上や品質管理の強化を図ることも可能に。さらには医療、農業、建設などさまざまな産業で問題解決への道を開いていくれるでしょう。
4.未来への展望と課題
エネルギー、モビリティ、産業分野における効率化と自動化は、資源の有効活用と環境負荷の低減に貢献します。つまり持続可能な社会の実現に一歩近づくことができる技術なのです。
またデジタルツイン技術による都市シミュレーションは、快適で安全な暮らしを実現させるためのさまざまな計画に役立つほか、生成AIによってパーソナライズされた医療・教育の提供も可能となります。
実現に向けた課題
一方で課題も。生成AIとデジタルツイン技術がさらなる発展を遂げるには、大量のデータ処理能力と高度なアルゴリズムの開発が必要不可欠です。またデータ収集と利用にあたって、セキュリティの確保とプライバシー保護が大きな課題となります。そもそも新技術の導入には社会的な理解と受容が欠かせず、特に自動化による雇用への影響や技術格差の問題に対しては、非常に慎重な対応を求められるでしょう。
期待される影響
協業によって推進される技術革新は、社会の持続可能性を高めるだけでなく、人々の生活の質を向上させることにも貢献します。また、新たなビジネスモデルの創出や、産業構造の変革を促進することで、経済全体の活性化にもつながるでしょう。上述した技術的・社会的課題を乗り越え、ポテンシャルを最大限に引き出すことができれば、私たちの未来はより明るく持続可能なものになるはずです。
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